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グラフィックデザインに関わることを色々

デザインコンペには基本的に参加しません

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コンペには参加しないスタンス

多くのデザイナーがデザイナーコンペなどに参加して、なんとか売り込もうとしています。めでたく採用されれば、大きな収入となりコンペによってはデザイナーとして大きな名声を得る事に繋がるでしょう。

しかし、ほとんどのデザインコンペで選ばれる作品は膨大にある中からたった1つとなってしまうので、大多数の採用されなかったデザイナーにしてみれば、ほとんどタダ働き同然の状態になってしまっているのです。このような問題をスペックワーク問題と言います。

 

こうした兆候が大きく表面化したのが、2020年の東京オリンピックのエンブレムの公募でしょう。既に決まっていたエンブレムが他のロゴと酷似していた事が発覚し、白紙撤回されました。その後、一般公募でプロのデザイナーから一般のデザイナーにもデザイン案を公募した結果、1万4599の作品が集まりました。見事採用されれば、100万円の賞金の他、開会式への出席などの特典がありました。

しかし、この1万を超える応募の中で最終的に選ばれたのは当然1つのみで、最終候補に残った3つを入れても残りの1万4569はまったく日の目を見る事なく消えていきました。選ばれなかった多数のデザイン案を作る為に、多くの数多のグラフィックデザイナー達が時間と手間を掛けて創ったのには違いありません。しかし、実際に賞金を受け取る事が出来たのは採用された人のみで、他の人は賞金を受け取れずタダ働き同然と言ってもいい事態になってしまいました。

もちろん、こうした大きな公募にチャレンジしたいという若いグラフィックデザイナーなら話は別ですが、デザインで生計を立てているのであれば、このような賃金を受け取れる補償の無い仕事に時間を割くのは賢明とは言えません。余程余裕のあるデザイン事務所なら、どんどんチャレンジするのも良いかもしれませんが。

このような、賃金がまったく補償されない仕事を増長させているのが、参加費のないもしくはほとんど無いコンペに代表されるコンペ形式によるシステムです。コンペ形式が多く採用される理由としては、コンペの主催者としてはより安いコストで多くの候補作品を見る事が出来るという点にあります。

今回の東京オリンピックのエンブレムに関してはオリンピックという国際的に見ても一大スポーツイベントだけに、自分のデザインを披露して腕を試したいという人も多く参加したので、多くの応募がありましたが、例えば企業の新商品のロゴデザインといった注目されるかどうか分からない案件になると応募数は減る事が考えられ、せっかくコンペ形式にして公募しても良いデザイン案が出て来ないという事態も考えらます。

どうしてもグラフィックデザイナー達の側から見れば、安く買い叩かれているという印象は拭えず、このような見え透いた参加費のないスペックワーク的コンペであれば、基本的には参加しないというのも選択肢のうちの1つと言えます。もし、参加するのであれば、きちんとコンペの参加費用が補償されているコンペのみに参加するようにした方が良いでしょう。

 

時にデザインという仕事は、簡単に出来るんじゃないかと思われがちですが、エンブレム作成のような物になると、利用されるシーンを想像し、総合的に検討しながら試行錯誤する作業ですから、思った以上に頭をつかう頭脳労働と言えます。

グラフィックデザインという仕事を軽く見ているという実情があり、仕事はしたけどそれに見合う正当な対価を得ているとは言えないという話もチラホラ耳にします。
※でもデザインを一般の人は分かってない!と胡座をかいているデザイナーサイドにも問題はあるかなと思います。

 

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